EOS kiss X2(18-55mm, 50mm)を愛用中。京都在住自転車通勤族。Twitterにもおります。
by siwapuri

細谷巖のデザインロード69

細谷巖のデザインロード69

細谷巌 / 白水社

ライトパブリシティ社長、アートディレクター細谷巌の自伝的な一冊。読み方は「ほそやいわお」ではなく、「ほそやがん」ということにされているそうだ(ずっと「いわお」だと思っていた)。
「ほそやがん」。というとなんか怖そうな響きであるけれど、文章はやたらカジュアルで全然厳つくない。69歳の重鎮とは思えない気さくな語り口だった。
ぼくはね、はにかみ屋だけれど、何かあたらしいことを、69歳でやってみたいと思い始めているんです。リラックスして書く自伝。どうせ恥をさらすわけですよ、自伝なんだから。恥もリラックスして書いてみよう。そう思ったんです。変ですかね。
その前振り通り、赤裸裸なことがあっけらかんと書かれている。あらかじめ、変ですかね?と断っているあたりは、きっと普段から「変ですね」。といわれていらしゃるのだろう。なかなか強烈なおじいさまであった。はにかみ屋かどうかは、以下の引用から判断できると思う。

夏休みに友だちと、ふんどし姿で川原でセンズリなどして、たがいの勃起した陰茎の大きさを見比べながら、大人のようなペニスになりたいとあこがれていたため、小さな包茎をむりやり剥いだら血が出て、とても痛かったことを思い出します。
いきいきと語る「はにかみ屋」巌先生。
初めて女の子を意識したのは、いつかって?いやぁ、きましたね、ついに。それはね、ちょとヤバイでしょう。童貞を失ったときのことでしょう?
すごく楽しそうな「はにかみ屋」巌先生。
田中(一光)さんはまじめな人だし、コワイというか冗談も言いにくい。(中略)そういえば田中さんの書かれた本もまじめでしょ。でもね、その本の中でぼくのことにぜんぜん触れてないんです。これ、変なんです。(中略)これはオフレコかもしれないけれど、田中さんはホモセクシャルの気があって、ぼくは誘われて夜を共に過ごしたことが一度あったんです。田中さんの部屋でお酒を飲んでいるときですが。寂しそうな、憂いをふくんだ目で見つめられると、拒めなかったんです。初めての体験なのでどうしたらよいのかなんとも言えない気持ちでした。ぼくは、その気はまったくないの。だけど、人間の潜在意識としてそういう気持ちってあるらしいの。それでぼくは誘われるままに、抱き合ったんです。楽しいことなどなく、なんか悲しかった。ぼくとは、そういう親密(?)な関係もあったのに、本の中ではひとことも触れていないんですからね。ちょっと変だと思うんですよ。ぼくのほうがおかしいのかな。
………そうかもしれない。


あとがきによると、この本はインタビュー形式によって構成されたとのこと。うっかり発言ともとれる内容がぽろぽろ見受けられるのは、そのせいなのかもしれない。持ち前のサービス精神で、つい余計なことまで話してしまったのではないか。
言わなくてもいいこと、書かなくてもいいことまで記してしまったかもしれません。そして、ほんとうに書かなければいけない、もっと大切な、肝心なことがあったのではないか、と気になります。
微妙な後味を残す自己批評ではあるが、細谷巌先生は狂おしいほどのサービス精神の持ち主なのである。そういうことがよくわかりました。
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by siwapuri | 2009-04-26 15:27


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