名盤の価値というのは、大抵あとから付け加えられたものなのだろうと思う。プレスが少なかったせいか、知名度の割にレコードが安くないから。ロックはともかく、ソウルのレコードはそんな風に思うことが多い。それでもオリジナルに近い形で欲しいレコードがある。Donny Hathaway のコレもそんな一枚で、初めて聴いたのは、確か学生の頃に年上のギタリストがCDで貸してくれたものだった。それはMDか何かに録音して、とても気に入っていたのだけれど、いつか再発ではなく72年のUS盤という形で手に入れたいと思っていた。それが、ようやく手元にある。 でもそうして数年ごしに手に入れたレコードを、当時のように何度も繰り返し聴くかといえば、そんなことはない。今は欲しいと思ったレコードやCDはすぐに買ってしまうし、聞き飽きるのを待つまでもなく、また新しいものを買いに行ってしまう。「消費の快楽」というのを知ってしまったのだ。 楽しいのは手に入れるまでの過程、レコード求めるのはもはや音楽ではなく、物語。 大人にとってレコードを買い続けるのは、そんな理由に違いない。 「レコードを探す情熱だけが、知ってしまった大人にとっての、唯一の音楽だった」 とは宮沢章夫の言葉だった。
by siwapuri
| 2006-07-14 10:28
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