1990年の暮れから「小説新潮」で連載されていた原研哉のエッセイ集。こちらは2003年に出た「デザインのデザイン」よりもずっとカジュアルな本でした。週に一度のマラソンの際、張り切りすぎて救急車のお世話になってしまったり、マラソンの自己記録をノートにつけていたり、余裕がのこっているときには髪を振り乱してラストスパートをかけたりと、意外と気さくで健康的な原研哉さんがいます。
もちろん豊富な知識と鋭い観察力による文章は、デザインの表現部分だけでなく、その背後にあるバックグラウンドを感じさせてくれるもので、特に以下の一文が印象的でした。 知識というのは磁石に吸い寄せられる砂鉄のようなもので、磁力のない磁石でいくら砂場を引っ掻き回しても何もくっついてこない。大事なのは砂鉄の多い砂場を探すことではなく、自分の磁力をいかにアップするかということである。 感覚の前に知識がなくてはならない。というのはデザインの仕事に限らず、レコード屋や古本屋へあしげに通う者にとっても深く響くものがあります。 ブックオフで800円。
by siwapuri
| 2006-11-12 13:03
|
|||||||||
ファン申請 |
||